ご挨拶

社会学とはいったいどのような学問でしょうか。自分の心の懊悩から国際的な紛争まで、あるいは、人間が共同生活を送るにあたっての秩序の始原から現代世界のポピュラーカルチャーや流行まで、私たちの目の前や頭のなかで展開するすべての現象を、個々人の意識や存在に外在する「社会」という視点で理解し説明しようとする挑戦的な学問です。

京都大学の社会学教室は、2007年には創設100周年を迎えましたが、その特徴は、社会の生成と展開について徹底した思索を行う理論的方向性と、社会調査に基づいて現実を多面的に解析する実証的方向性を両立させる社会学にあります。とくに現実の社会に対して関与し働きかける新しいスタイルの社会学・社会調査を実践・実験することによって、この特徴をさらに発展させようとしています。 2008年からは、全大学の社会学分野のなかで二か所選抜された教育・研究拠点(GCOE)として、大学院教育における国際化を推進し、欧米・アジアの33のパートナー拠点とのあいだでグローバルネットワークが構築できました。この成果を軸に世界を視野に入れた授業が展開されています。京都大学アジア研究教育ユニット(KUASU)との連携による外国人教員による英語の授業、台湾とソウル大学との共同授業、ベトナムや中国、韓国など海外の大学で受講した授業の単位化を実施しています。

理論、方法論などの基礎科目に加え、学内外の多数の社会学研究者がそれぞれ取り組んでいるホットなテーマを講じる多様な特殊講義を用意しているのも京大社会学の特徴です。